9月は1年の中で大卒者就職活動が鈍化する時期なのだろうか?
2010年3月卒業を控えながら正社員、新卒採用に拘り内定がもらえない複雑な気持ちで就職活動する学生。既に新卒者としての採用を断念して違う雇用スタイルで「働く」を確保する学生。意図的に来年の景気回復を願って留年する学生。内定を貰ったのに意図的ではなく留年が決ってしまった学生。もともと単位が足らずに留年する学生。そして、不運にも内定をもらっていた企業から内定取り消しの通知が来てしまって落胆している学生・・・。
果たして、世間一般の方々から見てこのような環境にいる学生達はどこで区別できるのだろうか。正直、誰もそのプロセスを知ることはできず個々の区別はつきにくい。つまり、学生個々のモチベーションが落ちることがなければ、面談で光っていれさえすれば、採用してくれる企業は見つかる可能性は大いにあり、内定がもらえない殆どの原因は自分自身に「光」がなくなっていることが原因である。自らその「光」を放つことを閉ざしていまっている訳である。勿論、現段階で2010年卒採用を行なっている企業に大手企業は少ないが、中堅、中小企業に素晴らしい企業が数多く存在していて、その企業を見つけることができればベストマッチングは可能である。
私は、既に30年HR系のコンサルティングをしてきて2300社あまりの経営者と触れ合ってきたが、その中には昔10人ほどの会社で現在は1部上場企業まで成長した企業が多く存在する。株価もこの景気の折上位に位置している。私がそのような企業の社長と御会いした30年前は社長自ら「とたん小屋」で開発や仕事をしていた企業や風呂敷片手に全国行脚していた企業もある。僅か10人、僅か20人の企業である。そのときは私も関与していた中途採用専門誌や新卒求人誌に求人を載せていただいていたが、数人来る応募者を人事部長や社長と大切に宝物のように扱っていたのを覚えている。そのときは応募者が企業を選択していた訳で、現在は僅かな新卒採用枠に数千人の応募者が殺到する企業までに成長している。
では、何故これらの中小企業は上場企業まで上り詰めることができたのか・・・・。共通していることが一つある。「企業は人なり」と言うが、それを本当に実践して「人」に投資していたということだ。これらの企業はまだ売上げが数億で利益が数千万の時代に、何と利益の70%ほどを人材採用費用や教育にかけていた。これは私が人材系にいた人間だから営業的に言う訳ではない。もしバランスを考えるコンサルの今の私だと、利益の中からそこまで採用や教育に費用を捻出してくだいとアドバイスする度胸はない。しかし、それらの社長は自分の経営ポリシーなのか躊躇なく人に対して投下した。数年前、その1社に当時中途採用で入られた方がその会社で始めて定年を迎えられた社員となった。そして、退職されるときに御電話をいただき「素晴らしい企業と出会いを持たせてくれてありがとう」と言ってくださった。感無量である。
入社時は未上場、現在の株価はご想像にお任せするが・・・豪華お土産付きのライフデザインとなった訳である。
さて、学生が言う「いい企業」「優良企業」とはなんだろうか?HRを何十年も仕事にしてきた私でさえ結論は出ない。でも、上記のような夢企業となる中小企業が今現在も存在していることを知って企業選択を楽しんで欲しいと思う。この不景気に「人の採用」に費用をかけている経営者には「何か有る!」ことに誤りはない。不景気のあおりを受けて再就職活動をされている方々にも敢えて言いたい。現在の企業規模や業績を見るのではなく、それらに流されず経営者そのものをみてはいかがでしょうかと・・・。
PS:1996年大卒求人倍率1.08。2000年3月0.99。2010年1.62。(リクルート ワークス研究所調べ)
不景気のどん底。1996年から2000年に大學を卒業された方は現在凡そ32歳から36歳。この時期の学生は自分が入社したかった企業に殆ど入社できなかった層であるが、片方では不景気で大手企業も殆どこの年齢層を採用していなかった為に社員の年齢構成にアンバランスができた。果たして32歳から36歳位の大手企業人材不足はどのように解消されたのだろうか。答えは2007年から2009年前半の比較的好景気時に中途採用でこの年齢層を中途採用し充足した。実に10年以上の年月が経過し、自分が新卒時に入社したかった企業に入社することができた方が多く出現した。現在の不景気要因は1996年時の不景気要因と違うものの求人倍率で言えばまだまだ良い環境と言える。今、新卒学生や転職を考えておられる方々にお伝えしたいことは、先ずは他の方にないスキルをしっかりもって成長することを忘れなければ、必ず自分を再度転換させることができる時期が来るということ。少し近視眼になってきている視野を広角で見ることも大切なのかもしれない。良い企業の規準を変えてみては如何だろう。