固定残業の解釈
平成29年7月7日付けの最高裁判決を受けて、固定残業の解釈を確認した通達が各都道府県労働基準局に通達が来ています。 オリンピックを前に景気がどう動くのか、国内外様々な課題が多い中、解散総選挙でどう政局が動き経済が変動するのか。まったく予想しにくい日本経済ですが、そこで働く人材に対しては常に効率よい人件費を求められています。特に中小企業には様々な時間帯にサービスを実施せざるを得ない業態も多い反面、それら対象の中小企業へ支払われる報酬は人件費割増しに見合うものが標準とはなっていないのが殆どで、売り上げに占める人件費比率は一般より高いものになっています。 世界でも類を見ない安全で24時活動する日本に於いて、夜間サービスの拡大がますます加速すると思われ、多様化した業態、勤務形態に対して新たな何らかの基準を設ける時に来ているようにも思える。 さて、平成29年7月7日付けの最高裁判決を受けた、固定残業の解釈を確認した通達の要約は以下です。 「時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含める方法で支払う場合には通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であること。また、このとき、割増賃金に当たる部分の金額が労働基準法第37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、その差額を支払うというものです。直近の最高裁判決を受けて固定残業代の解釈を再度明らかにされたものです。 下記抜粋文です。 2 労働基準法第37条が時間外労働等について割増賃金を支払うことを使用者に義務づけていることには、時間外労働を抑制し、労働時間に関する同法の規定を遵守させる目的があることから、時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含めて支払っている場合には、上記1を踏まえ、次のことに留意する必要があること。 (1)基本賃金等の金額が労働者に明示されていることを前提に、例えぱ、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金に当たる部分について、相当する時間外労働等の時間数又は金額を書面等で明示するなどして、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に区別できるようにしているか確認すること。 (2)割増賃金に当たる部分の金額が、実際の時間外労働等の時間に応じた割増賃金の額を下回る場合には、その差額を追加して所定の賃金支払日に支払わなければならない。そのため、使用者が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日付け基発0120第3号)を遵守し、労働時間を適正に把握しているか確認すること。 労働基準法第37条とは・・・ 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
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