経営者の資質や経営手腕こそが社員の定着度を上げる
2016年10月28日発表の少し古い調査ですが興味深いものがあるのでここで触れることにします。
株式会社リクルートキャリアの「第31回転職世論調査」。
ؚリクルートエージェントの登録者で何らかの手段で2015年から2016年5月までに転職を実現された3906名のうち回答者713名からの調査です。
以下は数多くある調査結果からいくつかの質問に対しての回答を記しています。
① 転職を始めた理由(複数回答)
1位は会社の将来に不安を感じて46.6%
2位は年収アップ35.6%
3位は時間的・精神的なゆとりを求めて32%
4位は他の会社で新しいキャリアを身につけたかった
5位は他の会社で今までのキャリアをこれまで以上に伸ばしたかった
② あなたが転職活動を始めた理由の中で最も強い理由をお書きください。(単一回答)
男性では「会社の将来に不安を感じて」がもっとも高く18%
女性では「時間的・精神的なゆとりを求めて」がもっとも高く21.8%
総合では1位が「会社の将来に不安を感じて」2位は「時間的・精神的なゆとりを求めて」3位は「他の会社で今までのキャリアをこれまで以上に伸ばしたかった」
③ どのような点に不安を感じましたか。(複数回答)
1位は「経営者の資質や経営手腕に問題があると感じた」
2位は「業績の悪化(売り上げや利益の伸びの低迷)」
3位は「自己都合による退職者が相次いだこと」
日本の40年、35年前はまだまだ終身雇用という考え方が企業にも働く者にもありましたが、今はそのような考えをもつ企業、働く者は極少と見てよいでしょう。当時は「仕事の内容」「休日休暇確保」「給与」などが会社を選択する際の重要視点であったと記憶していますが、現在は上記調査結果にあるように「会社業績・将来性・経営者の資質・暮らしのゆとり」などが上位となっており求職者の視点が大きく変化していることがわかります。
自分が辞めたいと言わない限り長く勤務できるという安易な考えは無くなり、ベンチャーに象徴される急成長企業でも短期間で業績が悪化し倒産することもあり得るというリスクを考えながら勤務する社員が増加しているのでしょう。
この現象は地域の中小企業に関係ないように思われるかもしれませんが、情報をネットで集める地域の20代、30代の若者こそその傾向は強いと見てよいでしょう。そして、入社後も社員は経営者をしっかりワッチしており、経営者は日々の言動に最新の注意を払うことが必要なのです。
経営者が常に学びの姿勢を有し、新しい事業、新しい感性をもちながら、社員とその思いを共有することができれば会社を成長させることができる可能性は高いです。そして、経営者の言動が人材の採用、定着を決めると言っても過言ではないのです。
こういうと中小企業の経営者はどうやっていけばいいのだと難色を示すのかもしれませんが、地域の中小企業の経営者こそ他社に対して優位性がとりやすいことを活用し、常にホームページやセミナーなどで経営者の思い、その実行と成果を継続して告知していくことが大切になるのです。
採用、教育、社員の定着、退職後の評判向上、地域の顧客満足度向上、顧客獲得度向上などに必ず繋がると考えます。
| 固定リンク