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2015/09/29

私が思う教育とは「将来を担保する人材を育成すること」と私は考えている

大学文系・理系出身者により企業の3割で業務に違いがある

 

 国立大学の「改革加速期間」において2016年度から第3期中期目標・中期計画が始まることにともない、文部科学省は68日、全国の国立大学に対し、教員養成系や人文社会科学系の学部・大学院について、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることを求める内容の通知を出した。経済団体の要請に応えたものであったが、教育界に加えて多くの企業からも反対意見がでた。高校や短大で芸術学部や文系学部の廃止の代わりに看護学科が増加するなどもその流れに沿うものなのか・・。日本の教育はしっかりと本質をもってかじ取りができるのか、単純に補助金や生徒集めの道具になっているのか大きな疑問をもつ。その疑問に応えるべく帝国データバンクで大学に求める教育分野に対する企業の見解について調査を実施された。その調査をベースにコメントさせていただくことにする。

調査期間は2015 8 18 日~8 31 日、調査対象は全国2 3,283 社で、有効回答企業数は1 833 社(回答率46.5%)

調査結果(要旨)

1. 自社の業務遂行にあたり、文系と理系の出身者で求めることに違いが「ある」企業は全体の29.2%、『製造』や『建設』で4割前後と高い。従業員数別では、1011,000人の企業で4割を超える。一方で半数の企業で違いは「ない」と回答。

昔は技術系の仕事領域に文系の人間が仕事として踏み込むことは至難の業であった。もし踏み込むなら再度大学を理系に入り直すという気合いが必用だった。しかし、今はIT領域の拡大により理系でも文系でも入り込めるSEやコンピュータソフト技術者が増大し、技術系という概念がややファジーになってきている。建築技術者なども文系学生が社会人になり目指して資格を有して頑張っていることも多い。ただ、製造会社に於ける技術者などは大学での専門的な学びが必用であり、この類の技術者を求めるときは企業も求めるものが違う。

2. 大学で学ぶ・教えることが重要な分野として、自社の成長のためには「工学系統」、日本経済の成長では「経済・経営・商学系統」、社会の発展では「医・歯・薬学系統」がトップ。企業が考える重要度は個別分野では大幅に異なる一方、文系・理系による違いは小幅にとどまる

 

日本は人口が激減していく。医療の発展による長寿は、本来、人が持つべきQOLを高める支援をするのが大きな目的であろうが、国の立場で見ると税収を意識した施策とも見れる時がある。医師が高給であることにまったく異論はないが、人の尊厳までも視野に入れた福祉従事者に対して行政の助成なども含めた支援を行なうことで待遇改善を行ない、世中の「医・歯・薬学系統」がトップという価値観をすこしずつ変えていく必要があるだろう。ノルウェーやスゥエーデンを代表する福祉国家のように高齢化を迎える日本の行政が舵をどうとるかで大切にされる学問や職業も決まるのではないだろうか。また、カナダのように自然や動物などに対しての研究を行う学問・学部の充実も本当の先進国になるために必要だ。世界遺産を近くにもつ知床大学院大学などの活躍も大いに期待したい。

自社の業務遂行時、約3割の企業が文系出身者と理系出身者で求めることに違いあり

 自社で業務を遂行するにあたり、大学の文系出身者と理系出身者に対して求めることに違いがあるか尋ねたところ、「ない」と考えている企業が半数となった一方、約3割は学生時代の文系・理系の相違によって求めることに違いが「ある」と回答した。
 「ある」と回答した企業を業界別にみると、『製造』(42.8%)、『建設』(39.0%)が高く、企業の4割前後にのぼる。『製造』では、「精密機械、医療機械・器具製造」が7割近くに達したほか、「電気機械製造」「輸送用機械・器具製造」「機械製造」も5割を超えており、とりわけ機械関連で出身分野により業務遂行において求める内容が異なっている様子がうかがえる。
従業員数別では、概ね従業員数が多くなるほど「ある」の割合が高くなる傾向がある。とりわけ「101300人」「3011,000人」の企業で4割を超えており、自社の得意分野を中心に事業を展開する中堅・大手企業において文系人材と理系人材を使い分けている可能性が示唆される。

私が勤めていた会社では理系も文系もなく必要とされる部署で必要とされるスキルを磨いた。私は文系であるが通信の自由化に伴い会社から旧NTT鈴鹿研修センタ(多分)に入学を命じられ日々通信の勉強をした。理系に交じり毎日のテストは地獄であったが、自分が苦手な分野の勉強をしたそのときほど成長を実感したことはなかった。企業は卒業学部による配属決定に加えて、研修などで参加者が有していない内容の学びを充実させることで、社員が持っていない能力の開花、管理職へ向かう為に必要なスキルの向上に注力すべきだ。もっと言えば大学での知識やスキルは基礎に過ぎず、企業に入社してからの企業のよる教育こそが大切であると思う。大学の学部配属による職場配属に加え、更なる社内教育の充実が求められる。

 自社の成長は工学系、日本経済の成長は経済系、社会の発展は医学系を重視

 文部科学省の通知では、組織の見直しに関して「特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、(中略)、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする」としている。そこで、自社の成長”“日本経済の成長”“社会の発展のそれぞれについて、どのような分野を大学で学ぶ・教えることが重要だと思うか尋ねた。
 自社の成長においては、「工学系統」が45.7%で最も高く、次いで「経済・経営・商学系統」が43.7%で続き、いずれも4割を超えている。以下、「理学系統」「農林水産系統」「法学系統」などとなった。工学系と経済系が突出しており、自社が成長するためには両分野を重要と考える企業が多いことがわかる。
 日本経済の成長においては、「経済・経営・商学系統」が64.5%で最も高く、「工学系統」が63.0%で続き、いずれも6割を超える企業が重要と考えている。さらに、「農林水産系統」「理学系統」「国際関係学系統」が5割台で続いた。
 社会の発展については、「医・歯・薬学系統」が63.3%で最も高く、「看護・保健学系統」「教員養成・教育学系統」「文学・語学系統」がいずれも6割台となった。自社の成長1位だった「工学系統」は12位、日本経済の成長1位だった「経済・経営・商学系統」は14位となっており、経済の成長と社会の発展で重要と考える分野が大きく異なる結果となった。
 
企業からは、「高等教育は総合成績だけでなく、語学と経済学、理学と医学、数学と経済学の融合など、学際的な融合を望む」(建設、北海道)や「学部や学科に関係なく、基礎的な学力はもちろんのこと、真実を深く知ろうとする探究心、発想力、発想したことを実現させるための行動力を身につけて欲しい」(労働者派遣、愛知県)といった、必ずしも学問分野にとらわれない教育を求めていることがうかがえる

 日本の教育が国政の道具に使われることは避けなければならない。

好景気の時に全国にできた美術系、芸術系の大学は先に述べた通り看護学部などに変り学生の導引を図ろうとしている。片方で美術系、芸術系に進路をとりたい学生たちは身近な地域に目指す大学がなくなり東京を中心に大都市に移動する。すべてが大都市に人が集まる仕組みとなり益々地域の教育環境は悪化する。

地域は地域活性化の様々な策を講じて人の流動を阻止しようとするが、魅力ある大学がない地方県は最終的に高校を卒業した時点で大都市に若者が移動し、就職も大都市となる。これからの日本を見たときに地方の大学の充実なくして活性化はなく、今ある大学の死守に文部科学省や日本国民は関心を示さねばならない。人が何を学びたいかはその個人の自由であり、すくなくとも国政や授業料などの格差による教育の誘導を行なうことは避けなければならない。

私が関与する多くの企業で本業実務ができる人材だけが重宝され昇進、昇格してきた歴史がある。その原因は今まで競走激化業界でなかったことや、新しい事業をしなければならないという切羽詰まったものがなかったからだと言える。しかしながら、他業界から自社業界への参入増や消費者の価値観変化により変革を求められ、既存スキルだけでは勝てない時代となった。そして今必要な人材は今まで切り捨てていた新しい感性とスキルを有する人材であったりしている。

私が思う教育とは「将来を担保する人材を育成すること」と私は考えている。

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