国内大手企業のTOPの入社式祝辞
マスコミが注目する中で大手企業のTOPが入社式で何を話すのか。大手企業TOPが考え抜いたはずの話は誰もが注目するのは当然である。2015年3月期、過去最高となる2兆7000億円の連結営業利益を見込むトヨタ自動車は昨年より248人多い1504人が入社した。採用ビジネスに関与する私としては、採用に当たったトヨタ人事の方々の苦労を思わずにはいられない。作業着姿で登場した豊田章男社長は、燃料電池車「MIRAI(ミライ)」などを例にあげ、「クルマづくりを通じ社会に貢献する」との企業理念を示した。さらに「100年先の未来に向けて挑戦し続けよう」と告げたとのこと。
過去最高の営業利益を予想する日立製作所の東原敏昭社長は「世界規模での変化に対応しながら、成長し続ける精神を持ってほしい」と新入社員に告げた。
1日付で就任したばかりのANAホールディングスの片野坂真哉社長は「20年の東京五輪に向け航空ネットワークを広げ、成長していく。10年後の推進役は皆さんだ」と告げた。
子会社が製造・販売した免震ゴム製品で性能改ざん問題が発覚した東洋ゴム工業の山本卓司社長は新入社員42人に「新しい人生の門出に、大変申し訳ない」と陳謝。「一瞬でお客の信頼を失った」と一連の問題を振り返り、「素直な目線で、立派な会社にできるよう最初の一歩を踏み出してほしい」と告げた。
東京電力の広瀬直己社長は、16年4月に家庭用を含む電力販売の全面自由化を控えており、「制度的に保証されていたシェア100%から、工夫や努力、知恵でシェアを戻す時代に変わる。一緒に競争に立ち向かっていきたい」と告げた。
経営再建中のシャープの高橋興三社長は「現金の流れが頭になかった」と過去に過剰投資した経営陣を暗に批判。「黒字倒産」に陥らないため、売上高や利益偏重ではなく、現金の流れを重視した「キャッシュフロー経営」に変えていることを告げた。きっと企業TOPの皆様は多くのお話しをされたと思うので、現場にいると臨場感もあり聞いていた新入社員の多くは何かを感じ訴えられたことがあったと思う。
多くのマスコミ関係者がいるであろう場所で株価を動かすような話もできないであろうが、果たして企業TOPの話は新入社員の心に響いたのか?通り一辺倒のチャレンジして欲しい、世界に通用するビジネスマンに的な言葉は就職活動を必死で戦ってきた新入社員の皆さんに本当に伝わる何かがあったのだろうか。企業のコンサルティングやエグゼクティブマッチングをしている私から見ると、優秀な人材が入社し、その優秀な人材が大きな人を動かす仕事をしている企業は、少なくとも社員の個々の心を動かす経営者や上司、同僚たちの言葉や行動がそこにあると感じる。国民の代表である政治家もしかりであるが、少なくとも紙を見て話すのではなく、心で話して欲しいと感じる。その意味で下記のYoutubeにある小泉氏の祝辞は気持ちが伝わるのではないだろうか。話の内容の良否はさておき、祝辞に対する真摯さがあり、聴講する学生の年齢や立場に十分訴求する気持ちが伝わるものだと思う。何より、一切のミスなくカンニングもせず、自分の言葉で伝える小泉氏は祝辞者として素晴らしいと思うのは私だけであろうか。
自分の言葉で話ができ、社員個々人の個々とに多くの刺さる話ができる経営者が今の日本には必要なのだと感じる。
陸上自衛隊高等工科学校 60期入校式 小泉進次郎氏の祝辞
https://www.youtube.com/watch?v=DHle8GrVPIc
| 固定リンク