学ぶということの素晴らしさ
「学ぶ」
日頃、就職ガイダンスや就職観について大学で話すことはあるが、久しぶりに自分が学ぶために大学に足を運んだ。
場所は奈良教育大学。近鉄奈良駅から徒歩20分程度だろうか、奈良公園を抜け住宅街を少し歩くとその大学はある。本来であれば早春の気配と鹿の出迎えで素晴らしい散歩となるが、当日はどんよりしていて肌寒く急ぎ足で大学に向かった。当日は入学と卒業生が入れ替わる時期でキャンパスに学生の姿はない。閑散とした大学なれどにこやかな守衛さんの応対に気分をよくして講義室に向かった。
今日のシンポジウムは就職でも企業経営でもなく、自分のライフワークテーマのシンポジウムで、最近所属した、JBN(ジャパンクマネットワーク)主催のもの。多くの活動をしているが、主に各都道府県や行政からの依頼を受け数少なくなったクマたちと共存する、保護する為の活動をおこなっている。メンバーの多くは大学研究者、地域行政の方々で、クマの研究をされている研究者や一般の方々なども入られている。 何十年もの調査データとフィールドワークが融合したものから様々なテーマを投げかけている。少しマニアックな話でだが、クマは既に九州絶滅(ここ数十年生存の証がない)、そして、下北半島・四国・紀伊半島も次なる絶滅候補地として挙げられています。様々な名目でH24年は2799頭が捕殺。H22年は何と3555頭が捕殺というのが現状です。この場で簡単に語ることは、人的被害を受けられた方や林業家、養蜂家の方に恐縮なのですが、誤解を恐れず言うと人が他種の命を絶つということだけはあまりにも寂しい気がするこの頃なのです。命は製品と違い設計図があり再生できるものではありませんので、大いなる責任が人間にはあるのだと思います。
このシンポジウムには大学教授や官庁系の方、JBNの方、山を歩き回り現場の話をされるフィールドワーカーの方など多くの方が講義をされたました。内容は書ききれませんが、近代国家である日本が九州のクマも守れない現実を見てやや危機感を募らせています。
さて、講義を聴きながら思ったのは企業にも似たリスクが存在するということ。経営者は事業再編や変革に目がいきがちですが,目的を達成するためにフィールドにいる現場の声が聞こえなくなっていたり、今に至る会社の歴が見えなくなっていないかということです。その声に耳を貸さないと取り返しがつかないこともあることを知り、真摯に経営をすることが大切であるという投げかけもこのシンポジウムはしてくれたと思っています。よくメーカーはモノづくりが命と言いますが、その魂が何かを放置して進むとクマのように取り返しがつかないことになってしまいます。企業にとってマーケットに沿った改革をすることは大切なことですが、自社らしさを継承しながらの変革こそが大切なポイントなのかもしれません。
ともかく、たまの休みでゆっくり時間を過ごすこともできましたが、参加して大いによかったと思います。自身が年齢を経たことで具現化できることが増えてきたことで、これから何ができて、何をしたいのかを探るこれからの数年がとても楽しみになりました。
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