« 2010年4月 | トップページ | 2010年9月 »

2010年6月に作成された記事

2010/06/28

2011年3月卒業予定大卒者 内定率調査について

2011年3月大学卒業予定者の就職活動について記す。

先日、リクルート社からインターネット調査による内定率調査の最新結果が出た。データ結果について話をするにあたり、その調査手法や調査対象の詳細を記して述べなければならないが紙面の関係上詳細は割愛し、リクルート社のHPなどを参照していただきたい。

さて、2010年6月初頭の全体調査結果は内定率(内内定率)46.8%、入社意志43.8%、就職活動終了36.9%となった。文系、理系で分けると文系は内定率(内内定率)47.1%、入社意志44.1%、就職活動終了35.3%となった。理系は内定率(内内定率)46%、入社意志43%、就職活動終了41%となった。昨年と違う部分は文系と理系の内定率逆転現象である。文系は-3%に留まったが理系は昨年比-6.4%となり学生にとって厳しい状況となった。ただ理系の内定者が就職活動を終了する率は相変らず高く89.1%で文系の74.9%を大きく15%近く上回った。理系は教授推薦や大学と企業の友好関係が文系よりも高く、その差が反映しているデータなのかもしれない。景気が徐々に回復していくだろうとの見通しがあるものの、メーカーの求人枠はまだまだ固いと思われる。

さて、このデータを見て世の中の親はどのようなことを感じるのだろうか?この景気の悪い時代に子供を大学課程まで進学卒業させる為の親の支援・努力と、就職内定率46.8%(2010年6月)の結果をどう見るのだろうか。ここ数年の不景気で親事態が就職に関してナイーヴな対応を迫られている中で、大学を卒業した子供も就職先が見つからないこの時代や政治は疑問に値することを私は疑わない。私は自分が20代で人材ビジネスに着手し始めたころを思い出す。高卒、短大卒、大卒それぞれの学生がそれぞれの持ち味や能力に値する就職先があり、凡その学生が厳しいながらも就職を勝ち得た。しかしながら、高度成長を続けた日本は所得が増大し、大学も増え、増部し大学を卒業しなければ就職活動がやりにくい環境を作り出してしまった。そのツケが不景気のこの時代に大きく露出しているのだ。これからの日本は教育というものを単にキャンパス内の教育という枠に捕らえず、これから起りうる国のリスクと勘案して中長期計画をたてて日本の若者達を支援していかねば、今後の日本の知力も低下するし海外に勝つ日本はつくることができないと感じる。また、現在人材ビジネスをしている私の自戒も含めHRビジネス、教育に関与している企業は業界としてやるべき王道を早期に見直して欲しいと思う。

本題に戻ろう。

男女比で見るとどうなるのか。男子は内定率(内内定率)50.6%、入社意志47.4%、就職活動終了41.9%となった。女子は内定率(内内定率)43.1%、入社意志40.3%、就職活動終了32%となった。女子は男子より狭き門となり、内定をもらった女子についても約26%の方々が活動を継続している。女子については納得できる会社からの内定がまだまだ出ていないことを意味する。

地域別にはどうか。関東、内定率(内内定率)48.6%、入社意志45.6%、就職活動終了39.9%。東海、内定率(内内定率)49.5%、入社意志45.8%、就職活動終了34.9%。関西、内定率(内内定率)42.1%、入社意志39.4%、就職活動終了3.6%となった。関東については昨年対比内定率を-6%落としている。東海は昨年内定率50.3%に対して-0.8%と少ない減となっている。これは予測の域を超えないが、東海地域の大学卒業数に対しての求人件数が他地域より緩和されており、且つ理系採用があまり昨年比衰えなかったことがあるのではないだろうか。この3地域で言えば関西圏が一番厳しい状況と思われ、就職修了者が30.6%というのも悩ましい。実際に関西は景気が一番低迷しており、フリーターが働く場所の少なさや、中小企業の求人の少なさも深刻で、大学を卒業してもアルバイトでさえ働き口がないということもありえる。私は政治に関心もないし関与していないが、大阪は本気で抜本的な改革を行なわない限り若者が健全に働く企業を育成できず、税収入も先々ないただの地方都市になりかねないと思う。

来年とは言わないまでも、健全なバランスをもった大学数と学生数を日本は計画し、就職を希望する新卒者全てが良好な企業と巡り合うことができる社会を構築しなければならないと強く思う。もちろん、学生自身が貴重な時間を有効に使い知力をあげてもらうことが最優先事項であることは言うまでもない。

|

2010/06/13

経営者と登山家

Photo1

私は登山やカヌートリップなどの単独行が非常に自分に向いていて好きである。なぜ好きなのかを突き詰めると、一人で判断し、決断し、実行できるからかもしれない。もっと言えば単独行は失敗しても自分の責任で自分だけがリスクをかぶればいいという逃げがあるからかもしれない。

さて、そんな私が若きし頃から尊敬する冒険家?であり経営者のモンベル代表、辰野勇さんがおられる。世界的に名だたる山々に登頂し、仲間の死を見、カヌーで多くの川に挑まれた方である。そして、企業経営の世界に身を転じ海外にも拠点を置く「モンベル」を創設されている。

話はモンベルのことではなく、、登山家と経営者の素養についてであるが、モンベル社について少し解説しておかねばならない。モンベルはOUTWARDという会員向け情報誌を発刊しているが、この中に登山家、山野井泰史さんと辰野勇さんの対談があり、常々私が思うことがつづられていたので抜粋しながら私なりに思ったことを書くこととする。モンベルの広報部の方々お許しをいただきたい。

雑誌のテーマは「登山家という生き方」である。山野井さんは8000m峰の困難な岸壁を単独、無酸素で踏破し世界最強のソロクライマーといわれている。また、2002年には夫婦で挑んだヒマラヤのギャチュン・カンで単独登頂を果たしたあと雪崩に巻き込まれ手足の指を合わせて10本失いながら奇跡的な生還も果たされている。敢えて冒険と言うカテゴリーがあるとすれば、冒険の定義は「単独」というキーワードが無ければ成立しないのではないかと私は常に思っており、その意味で山野井さんは大いに尊敬に値する。山野井さんと辰野さんの対談は以下のようなやり取りがされている。(文略あり)

山野井:ヒマラヤで雪崩に合い今にも凍死、死にかけても、その瞬間「根性出してやる!」「死なないぞ!」とう意気込みはなく、そのときできることを淡々とやっていただけなんです。辰野:後ろを向いていないんですね。これから何ができるのか、先のことを考える。

辰野:登山家のそういう感覚、「ああしたらどうなるか、こうするためにはどうしなきゃいけない」そういうことを想像しているときは、前しか向いていませんよね。会社経営もよくにていて、後ろを向いても始まらない。これから先をどうするかという素早い切り替えが非常に重要なんです。起こったことはしかたがない。これからどうするか。

山野井:今思い返しても、どんどんいろいろな判断を迫られて、それが瞬時に浮かんでくる。クライマーとして、判断をどんどん下すことができた自分が心地いい。

辰野:それが登山の醍醐味かもしれませんね。集中力、持続力、判断力、そして決断力をもつこと・・・。それも瞬時に。時間をかけてはいけない。色々なことが山では起こりますからね。・・・・・不幸なのは、後ろを振り返って「あそこにまた行ってみたい」「あれと同じことをまたやってみたい」と執着をもつ人です。人間には忘れる力と前を見る力が与えられているのだから。

以上、抜粋。

私は以前のブログで類似したことを書いてきているが、仕事も人生もやはり後ろを見てはいけないと思っている。過去に心地よいことがあってそれに戻りたいという甘えや、過ちや失敗をして悩んだり悔やんだりすることをできるだけしない自分をつくらなければならないと考えている。更に誤解を恐れず言うと、それらはできるだけ「反省」という行為や思いから課題を見つけ解決し、前に進むプロセスにしなければならないと思っている。山野井さん、辰野さんが言われていることをもう一度私も噛みしめながら前に進もうと思う。

以前、御会いした冒険家堀江謙一氏が一人で太平洋横断や世界一周無寄港をした際、風向きや、天候、星などからすべて一人で進むべき方向やすべきことを判断し、決断を迫られると話しておられたのを思い出す。個人の人生も会社経営も冒険家に似ている。瞬間のターニングポイントでどちらの方向に目をやるのか、進むのか留まるのかなどすべてを決するのである。大事なことは前に進むことだ。

現在は転職にとって非常に厳しい状況であるが、進むべき方向と、しなければならないことは決まっているのではないだろうか。「判断」はある事柄について、考えをまとめて定めること。「決断」はことのよしあしをさばくこと。そして、後は前に向いて進むことだけだ。

|

« 2010年4月 | トップページ | 2010年9月 »