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2006年12月に作成された記事

2006/12/06

日本人海外勤務者の転職事情

人材市場で言えば国内は景気の回復と共に、大手や中堅中小の求人が増加し、その求人にマッチングする人材をサーチするのに相当の時間と労力を要すようになってきている。当社はハンティング的な動きや国内外のMBAルートによる長年の人脈で潜在的転職者層を支援しているので景気による人材ボリュームの上下は殆どないに等しい。しかし、最近少々気になることが起こっている。

それは、日本人海外駐在者、永住者の求職依頼が多くなってきていることである。年令は30代から50代と幅広く、ある特定の素晴らしいスキルをもつ方々が多い。お住まいは殆どが北米、中国、東南アジアである。彼らの共通することは10年以上海外で暮らしており、すっかり海外の生活になじみ惚れてしまっていることである。日本企業については国内雇用で海外駐在で転勤を命じたならば、ほぼ3年から5年を目安で国内に異動を命じて、新たな職場を国内で与える。しかし、数年を過ごし海外に惚れ込んでしまった彼らは、日本に戻ることなく海外雇用に切り替えたり、そのときに転職をして更なる海外での勤務会社を探索した訳である。冷静に見れば「海外住まいに惚れる怖さ」とでもいうべきものがあるのかもしれない。

上記の決断が数年後の今○と出る方と、×と出る方と大きく運命が分かれていると感じる。その方の職種にもよるが、その方が持つ能力がアウトソーシングでスキルを調達できる場合は、世の中の風潮と、そのマーケットの成熟度により加速度的に社内にその業務をする社員を置かなくなり、アウトソーシング化してしまっているである。そして、海外企業ならではのドラスティックな結論を彼らに出してくるのである。

果たして海外でアウトソーシング化した仕事内容は日本ではどうだろうか?基本的には海外諸国と同様の戦略を国内企業はとっており、本人が気づいたときには、自分のスキルに付加価値がなくなっている場合が多い。これは、単純な言葉で片付けることはできない内容であるが、自分のキャリアプランを少し前に真剣に考えていれば容易に判断ができたと思われる内容である。転職のタイミングを数年前にはずしてしまい、海外で更に勤務を長くされた方は住宅事情や物事への価値観も国内とは大きくずれ始めており、給与格差についても理解に苦しむ結果となる。この価値観の差が、更に転職先を選択する際に障害となる場合が多い。

漠然としたことを書いているが、海外に長くお住まいになっており、且つ近い将来転職を考えて折られる方は、国内で転職を考える以上に早く相談をしていただきたいと思う。また、家族をアメリカなどに置いて、単身で日本で勤務する場合は、殆ど給与が合わないので慎重な計画を練って転職活動をされることをお勧めする。

*このような背景があっても優良な企業からオファーがかかる優秀な人材が多くおられる。それは何故か?同じ業務内容・資格を持つ方でも、更につきぬけたその分野のスキルをお持ちの方は必ず企業の人事の方々の目に留まる。何故、目に留まるのか?それは自分自身が自信をもってしてきた仕事内容が他の方々より経歴書に確実に詳細に書くことができるからである。つまり、どのような素晴らしい仕事をしてきたのかだと私は考える。経歴書は後戻りできない自分の縮図である。そのためには今を確実に真剣に生き計画性をもって人生を切り開くことが重要なのかもしれない。

「自ら機会をつくりだし、機会により自らを変えよ」

私の座右の銘である。

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