技術者専門求人誌「Beruf」ベルーフ
ベトナムに続き、カンボジアについて直ぐに記したいが、昔書こうとして書けていない技術者の求人専門誌「Beruf」ベルーフについて書くことにする。
ベルーフとは「転職」ではなく「天職」という意味をもつ言葉である。私は非常に好意を寄せる言葉であり、この誌名をもつ技術者専門の求人誌創刊に関与したことを今でも誇りに思っている。当時、文系ではあれど技術やメカが大好きな自分のDNAが騒いだことを覚えている。内容は景気の上昇と共に全職種を掲載する週刊就職情報誌の厚さが電話帳のようになり、本屋さんのラックや営業マンのカバンにも入りきらなくなり、最終的には一番読んで欲しい転職思考者(読者)にも本が重すぎて購入を鈍化させるという事態になった。お客様に求人広告掲載料を頂きながら、効果がでないとなれば本を発刊する意味もなくなることから、技術者の求人のみを抜粋し、且つ技術者の方々が読んでも面白い編集記事を掲載する技術者求人専門誌「Beruf」を創刊した。
この本は物づくりの日本を知ることができる素晴らしい本で、求人誌としては勿論、日本のメーカーを中心とする素晴らしい研究開発の裏場面や、技術者に期待する人事部の話、そして圧巻は技術者を採用する為に、国内外の大手企業TOPが求人誌の誌面に登場したことだ。当時はあのビルゲイツも編集記事内で、マイクロソフトの企業理念や、日本で欲しい人物像を熱く語っていたのを覚えているし、取材もシリコンバレーなどにも及んだ。実は、私個人の主な人脈や知識は、この当時に形成されていると言っても過言ではない。私が国内最大の人を扱うリクルート社に入社した一番の理由は「昭和に奮闘して素晴らしい企業を創られた大手企業の創業経営者の方々に御会いすること」であった。素晴らしい経営者ほど「人」の重要性を説く訳で、大手企業の著名で多忙な経営者でも人を採用する為には必ず経営者そのものが登場して話をするに違いないと読んだ訳である。言い方が少々乱暴であることをお許し願い、その実現に利用し、それを実現させてくれたのがBerufであった。
当時はまだ20代から30代であったが、今は無き大手家電メーカー、自動車メーカーのTOPとも御会いすることができた。御会いしたときは事前に読破した本の内容も全て頭の中から空っぽになり、その顔に刻まれたしわ一つも見逃すまいという感じで顔ばかり眺めていたことを記憶する。勿論、その時の取材はライターに任せていたこともあり、会話の内容はほぼ記憶に無い。また、いい意味の誤算として海外から多くの企業が日本に参入し、外資系のTOPの方々とも御会いすることができたことである。そのお陰で国内外企業の価値観の差も学んだ。その意味では「Beruf」が今の自分の仕事をさせてくれていると言っても過言ではないのかもしれない。
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